形見分けは現金でもできる?封筒や表書きなどのマナーについても解説お役立ちコラム

作業風景

形見分けを遺品ではなく現金で行いたいけれど問題はないのか、と悩まれている方も多いのではないでしょうか。

最近では、そもそも物をあまり持たない人や、「長く使う」よりも「買い替え・使い捨て」という価値観を持つ人も増えています。

そのため「遺品を贈っても管理などが相手の負担になるのでは」と、ためらってしまうのも当然の心理です。

形見分けは遺品で行われることが多いですが、故人の強い希望があれば現金でも可能です。

今回は、形見分けを現金で行う場合の注意点や基本的なマナーなどについて解説いたします。

形見分けを現金でしたいとお考えの方は、ぜひこのコラムを参考にしてください。

この記事でわかること
・形見分けを現金でする方法
・形見分けを現金でする場合の注意点
・形見分けの基本マナー(譲る側・受け取る側)

この記事を監修した人

監修者
小西 清香氏
整理収納アドバイザー

元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。夫の身内6人の看取りや介護をし、生前整理の大切さを痛感。
また看護師時代ICUに勤務し、人の最期もたくさん見てきました。
そんな経験を元に元気なうちから生前整理を!という思いで、片付けと合わせてお伝えしています。

現金で形見分けする場合の金額や封筒の表書きについて解説

現金で形見分けする場合の金額や封筒の表書きについて解説

形見分けを現金で行う際のポイントは「金額」「渡し方」「事前確認」の3つです。

以下にて、わかりやすく解説します。

1.形見分けする金額の目安

形見分けの金額には相場というものがありません。

受け取る人が負担に感じる金額にならないよう配慮したうえで、遺族(相続人)全員で話し合って決めることが大切です。

遺品で行う形見分けでは「財産的価値はないけれど、譲られる人にとっては価値を感じる品」で行います。

現金で形見分けを行う場合も、それと同等程度の金額で行うのが良いでしょう。

注意点
110万円(年間)を超える現金を形見分けすると、相続税または贈与税の課税対象となります。
受け取った人に納税義務が生じるので注意しましょう。

2.無地の白い封筒に表書きしてお渡しする

遺品を形見分けする場合はそのままお渡しても問題ありませんが、現金をそのまま渡すのは控えましょう。

無地の白い封筒に、仏式なら「遺品」、神道なら「偲び草」と表書きして現金を入れ、直接手渡しましょう

お渡しする際の伝えかた例
「故人の希望でこのような形での形見分けとなりました。お受け取りいただけますと幸いです。」

3.相続人全員、受け取る人への確認を怠らない

現金を形見分けする場合、財産分与に該当する可能性があるため必ず相続人全員に同意を得ましょう。

また、受け取り手にも形見分けを受け取ってもらえるかを確認し、無理に押し付けるようなことがないようにしましょう。

注意点
・後々、相続トラブルに発展することがあるため、形見分けを勝手に行うのはやめておくのが賢明です。
・受け取り手には、現金での形見分けが故人の希望であることを丁寧に説明しましょう。

形見分けを現金でする場合は相続トラブル対策をしよう

形見分けを現金でする場合は相続トラブル対策をしよう

まずは、形見分けを行うよりも前に相続人全員で話し合い、遺産分割を済ませましょう。

本来、故人が残した遺品や現金を含む資産はすべて相続財産となるため、形見分けは遺産分割にあたります。

しかし、形見分けについては古くからの慣習として「遺産の分割に該当しない」とされるのです。

ただし、これは形見が高額でない場合(財産的価値が110万円以下/年間)に限られます。

財産的価値が110万円(年間)を超える場合は相続財産とみなされ、遺産分割が終わるまでは相続人全員の共有財産になります。

そのため、110万円以上の現金を勝手に形見分けしてしまうと後々相続問題に発展する可能性が高いです。

では、110万円以下であれば勝手に形見分けをしても良いのかといえば、そうではありません。

例え財産的価値がない遺品でも、勝手に形見分けをするのはトラブルの原因になり得ます。

どんな品に価値を感じるかは人それぞれです。

110万円以下の遺品や現金を形見分けする場合でも、相続人全員と話し合うことを推奨します。

*110万円以上(年間)の現金を形見分けした場合、受け取ったのが相続人なら相続税の、相続人以外なら贈与税の課税対象となる

形見分けをするのに適した時期や基本のマナーを学ぼう

形見分けをするのに適した時期や基本のマナーを学ぼう

この章では、形見分けに適した時期や渡し方などのマナーをご紹介します。

・形見分けを行う時期は四十九日法要後や一周忌などの節目が一般的

形見分けの時期に決まりはありませんが、一般的によく行われるタイミングは以下の通りです。

仏教 四十九日法要後、一周忌法要後などの節目
神道 三十日祭もしくは五十日際の後
キリスト教 形見分けの文化はないが、没後1カ月の召天記念日に行われることがある

※宗派によって忌明けの日数は変わります。

形見分けの時期に決まりがないのは、形見分けをする前に遺品整理を行う必要があるためです。

遺品整理に要する時間は故人の家の状態(間取りや物の数)に大きく左右されるため、明確な時期は決めれらません。

四十九日法要後や一周忌法要後に行われることが多いのは、親族一同が集まる機会だからです。

形見分けは基本的に手渡しで行うものであること、相続人全員での遺品整理や話し合いがしやすいことから最適なタイミングです。

自分達で遺品整理を行うことが難しい場合は、遺品整理業者への依頼がおすすめ
故人宅が賃貸の場合など、急いで遺品整理を行いたい時には特に頼りになります。遺品整理士が在籍していれば形見分けや相続の相談もできます。 また、遺品の価値を正しく知ることは相続や形見分けのために重要ですが、その点、査定・買取ができる業者なら安心です。

・形見分けを目上の方にするのはマナー違反

形見分けは、故人よりも若い方(子、孫、甥、姪、部下、後輩など)へ分けるものです。

目上の方に形見分けをすることはマナー違反になります。

贈る相手によっては失礼になる可能性がありますので気を付けましょう。

とはいえ、近頃では形式にとらわれず、自由に形見分けを行うケースも増えています。

例えば、目上の方から「ぜひ形見を譲ってほしい」と望まれた場合であればお渡ししても問題ありません。

・形見はお渡しする前に手入れをする

形見は、渡す前に手入れをしておきましょう。

破損している品、キズや汚れが目立つ品は贈らないものですが、相手の了承を得ていれば贈ってもかまいません。

・形見は直接手渡しする

形見は、受け取る人に直接手渡します

包装はせずにそのままの状態で渡すのが一般的ですが、気になるようでしたら半紙などの白い紙で軽く巻いて渡すと良いでしょう。

その際、仏式なら「遺品」と、神道なら「偲び草」と表書きすれば、より丁寧です。

どうしても直接渡せない場合は、事前に受け取る相手に連絡をしてから宅配で送りましょう。

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形見分けを受け取る際に気を付けることと現金の使い道例

形見分けを受け取る際に気を付けることと現金の使い道例

形見を受け取る側もマナーを守り、遺族に失礼のないようにしましょう。

・形見分けを辞退する場合は、遺族へ配慮し丁寧に理由を説明する

基本的に形見は受け取るのがマナーとされていますが、どうしても受け取れない場合は辞退しても問題ありません。

遺族の気持ちに配慮し、辞退する理由を丁寧に説明しましょう。

断り方例
「大変光栄なことではございますが、形見を目にするたびに故人を思い出し辛くなってしまいます。申し訳ありませんが辞退させてください。」
「お申し出は大変ありがたいのですが、お気持ちだけ頂戴いたします。今はまだ故人を思い出すと辛いのでお断りさせてください。」

・形見分けのお返しはしない

形見分けはお祝い事ではないため、形見を受け取ってもお返しはしないのがマナーです。

お礼の電話・メールは失礼に当たりませんので、改めて連絡をするのは問題ありません。

・形見を手放す時は遺品供養や寄付を行う

形見として譲られた品は大切に持ち続けることが前提です。

しかし、傷みが酷くなった、管理が困難になった、などの理由からどうしても手放さざるを得なくなることもあるでしょう。

その場合は、お寺や神社、遺品供養業者や遺品整理業者に相談して供養してもらいましょう。

書籍類、美術品、骨董品などであれば、学校や博物館、施設などに寄付をするのもおすすめです。

・形見が現金の場合は故人の供養につながる使い方が良い

遺品ではなく現金を受け取った場合は、そのお金で故人様を連想できるような物や供養につながる物を買うのが良いでしょう。

*現金の使い道例
・念珠(数珠)やおりんなどの仏具
・葬儀用のネックレス
・故人が好きだった物、趣味の物
・植物を購入して育てる        など

形見分けの本来の意味は”故人を偲び供養する”こと

形見分けの本来の意味は”故人を偲び供養する”こと

形見として遺品を受け継ぐ行為には、故人を偲び供養するという意味合いがあります。

形見分けは、生前に故人と仲が良かった親族、深い交流があった友人や後輩に遺品を受け継いでもらう日本独自の文化です。

日本には、古来より万物には神様や精霊が、遺品には故人の魂が宿るという考えが根付いています。

つまり遺品を受け継ぐことは、故人の思いを引き継ぐことと同義であり、故人の冥福を祈り続ける行為でもあるのです。

元々は、故人が身に付けていた衣類や宝飾品などを親近者で分けるものでした。

それが近年では、身に付ける物に限らず家具や家電、趣味の品、そして現金など、多様な品が形見分けされるようになりました。

時代や生活スタイルの変化とともに、形見分けの形式も少しずつ変わってきたのです。

しかし、「故人の思いを引き継ぎ、魂を供養する」という形見分けに込められた意味や故人を思う気持ちは同じです。

まとめ

形見分けは必ずしも行わなければいけないものではないので、負担になる場合はしなくても問題ありません。

形見分けが故人の希望であった場合や、形見を受け取りたいという思いが強い場合に行いましょう。

基本的なマナーを覚えておけば、双方にとって気持ちの良い形見分けができますし、故人もきっと喜ばれるでしょう。

筆者は、祖父の形見の万年筆を持っていますが、祖父との楽しい思い出を蘇らせてくれる品として大切にしています。

形見分けで大事なのは故人を思い、偲ぶ気持ちです。

現金での形見分けをつつがなく行うために、当コラムが少しでも参考になりますと幸いです。

この記事を執筆した人

執筆者
株式会社プログレス
編集部 M・Y
祖母の死をきっかけに遺品整理を始めたものの、大量の家財整理に手を焼いた経験からプログレスで不用品の処分や遺品整理、ゴミ屋敷問題について調査、執筆を開始。
ネットショッピングや定期購入などによって簡単に物が手に入る時代だからこそ、身の回りの整理整頓について振り返るきっかけを皆様へお届けしたいと考えています。

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