勝手な形見分けはトラブルの原因に!遺品整理や相続でも注意しようお役立ちコラム

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大切な方が亡くなった後、親族や親しい人たちで故人との思い出の品や愛用品を分け、受け継ぐことを「形見分け」と言います。
なんとなくその意味ややり方をご存じの方は多いと思いますが、具体的にいつ頃するのが良いのか、注意することは何か、遺産相続とどう違うのか、などをご存じの方は少ないのではないでしょうか。
慣習を知らないまま、形見品を勝手に自分の物にしたり、親族に黙って勝手に人に譲ったりして後々トラブルになる事例もあります。
当コラムでは、形見分けと遺産相続との違いや形見分けを行ううえでの注意点などを詳しく解説していきます。

 

形見分けとは?

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「形見分け」というのは日本独自の文化です。
形見分けは「片身分け」とも呼ばれ、古くは平安時代から行われていたことを示す記録(平安時代に書かれた書物『栄花(華)物語』に「あはれなる御形見の衣は」という一節を含め5例の記載在り)も残っています。

元々は故人が身に付けていた衣類やかんざし、宝飾品などを親近者で分けることで魂を継承して供養するというものでした。
自然や現象、物質に至るまですべてのものに神様や精霊が宿っているとする日本古来の宗教観から派生して、物を大切にする精神や価値観が根付いている日本人らしい文化といえます。

現在では身に付けるものに限らず、趣味の品や家具、家電など多用な品が形見分けされるようになりましたが、「故人を偲ぶ」「思いを引き継ぐ」という形見分けに込められた意味や思いは今もずっと変わっていません。

 

遺産相続と形見分けの違い

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遺産相続と形見分けの違いは、大まかにいえば受け継ぐものの「資産価値のある・なし」と、譲り受ける人が「血縁者に限るか・限らないか」です。
以下で詳しくご説明いたします。

 

遺産相続

遺産相続では、資産価値のあるものを家族や親族などの血縁者が受け継ぎます。
被相続人(故人)の配偶者は常に相続人となり、続いて相続順位1位は直系卑属(子供、子供が亡くなっている場合は孫、ひ孫など)、2位は直系尊属(直系卑属がいない場合に父母、祖父母など)、3位は兄弟姉妹(亡くなっている場合は甥姪)となります。
これは民法で定められた基本の相続順位であり、遺言書により故人から相続人が明確に指定されている場合はそちらに従うことになります。

 

形見分け

形見分けでは、資産価値のないもの(原則110万円以下/年間)を生前親しかった人に分けますが、血縁者に限らず故人の友人や同僚など親族以外も対象になります。

 

形見は相続税の課税対象外

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形見は相続税の課税対象にはなりません。
民法に「相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」「相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する」(民法第896条、第898条)とあるように、厳密にいえば形見は相続財産なので、形見分けを行うことは遺産分割にあたります。
しかし、形見分けについては慣習として「遺産の分割に該当しない」とされているのです。

ただし、形見が高額になる場合はこの限りではありません。
原則として形見の財産的価値が年間110万円を超える場合は、相続財産とみなされ課税対象となります。

つまり形見分けは、「財産的価値はないかもしれないが、譲られる人にとっては価値がある」といった品で行われるのが一般的な認識だということです。

*関連サイト
【相続法逐条解説②】民法896条~民放914条 相続の効力編

 

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形見分けをするのに良い時期は?

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形見分けをする時期に決まりはありませんが、行うのに最適なタイミングというのはあります。

 

忌明けとなる法要後

仏教の場合は四十九日法要の後神道の場合は三十日祭もしくは五十日祭の後に行われることが多いようです。
キリスト教には形見分けの文化はありませんが、没後1か月の召天記念日に行われることがあるようです。

形見分けは基本的に手渡しで行うものであることに加え、なるべく相続人全員で話し合って決められるように、法要などの親族が集まれる機会に行うのが良いということでしょう。

 

遺品整理が終わってから

遺品整理が終わっていないと形見分けできる品がどれだけあるのかもわからないため、遺品整理後に行うのが一般的です。
親族総出で遺品整理に取り組むのも良いですが、遺品整理だけで時間が足りなくなってしまうことも考えられるため、できれば親族が集まる日までにある程度遺品整理を終えられているのが理想的でしょう。

自分たちだけで遺品整理を行うのが時間的、体力的に難しい場合は、遺品整理業者や遺品整理士のサポートを受けるのがおすすめです。
迅速かつ丁寧に遺品を仕分けし、困り事や要望にも柔軟に対応してくれます。

 

形見分け品は相続人の共有財産

形見分け品は相続財産の対象外ではありますが、相続人全員の共有財産として認識する必要があります。
そのため、形見分けについて故人からの要望がなかった場合には、本来なら遺産分配協議のように、相続人全員の了承のもと、誰に何を形見分けするか決めなければいけません。

形見分け品は財産的価値がないものであることが前提のため、他の相続人に相談なく勝手に持ち出したとしても、実際に問題になることは少ないものの、全くないとも言い切れません。
どのようなものに価値を感じるかは人それぞれなので、誰かに譲った後から「自分が欲しかった」と言う親族が出てきて揉め事につながることもあります。
無用なトラブルを避けるためにも、勝手な判断で形見分けをするのはやめておくほうが賢明です。

 

形見分けでのマナーや注意点

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形見分けのマナー

故人の遺志を尊重する

誰に何を譲りたいかを故人から生前聞いている場合やエンディングノートなどに記載されいている場合は、可能な限り故人の遺志を尊重しましょう。

 

形見分けは故人より目下の人に

形見分けのマナーとして、故人よりも目上の方にお渡しするのは失礼になることを覚えておきましょう。
その方から望まれ、形見を受け取りたいと申し出られたのであればお渡ししても大丈夫です。

 

形見品は包装しない

プレゼントではありませんので包装の必要はありません。
そのままの状態で問題ありませんが、気になるようなら白い紙で包み、仏式なら「遺品」と、神式なら「偲び草」と表書きしてお渡ししましょう。

 

形見分けのお返しはしない

お祝い事ではありませんし、故人の供養が目的のため形見分けのお返しはしないのがマナーです。

 

注意点

遺品整理時に誤って処分しないようにする

遺品整理時には故人の所有物すべてを仕分けて、不用品の処分までしなければいけません。
形見分けするはずだった品や貴重品を誤って捨ててしまわないように注意しましょう。

 

相続人みんなで集まって形見分けを行う

不公平がないように相続人全員で集まり、誰が何を受け継ぐかを話し合って決めましょう。
勝手に分けると後々揉め事に発展することもあります。
相続人以外の人に形見分けする場合にも、相続人全員の了承を得ることを忘れずに。

 

財産的価値の高い品の場合は相続税の対象になる

形見は相続税の課税対象外とお伝えしましたが、例外はあります。
例えば、生前から「ダイヤのネックレスを形見として受け継いでほしい」と故人から言われていたとしても、その財産的価値が110万円を超える場合は相続税の対象になります。
ただし、遺産の総額が相続税の基礎控除範囲内(3000万円+600万円×法定相続人の数)であれば申告は不要で、相続税を納める必要もありません。

 

相続放棄できなくなることも

故人に多額の借金があるなど、相続放棄を検討しているなら形見分けは慎重に行ったほうが良いでしょう。
相続財産として価値のないものであれば形見分けしても問題ありませんが、もし価値の高いものを形見分けしてしまった場合は、相続財産の処分や隠匿とみなされ相続放棄できなくなります。

 

親族以外に形見分けした場合、贈与税の課税対象になることがある

贈与税とは、貰った物の財産的価値が年間110万円を超える場合に掛かる税金です。
そもそも、余りにも高額な品を親族以外に譲ることは、相手にとって精神的に大きな負担となることも考えられますし、贈与税が掛かることもあるため、形見分けを行う前に充分検討しましょう。

 

まとめ

形見分けは故人を偲び、思いを受け継ぐために行われます。
その思いを大切にするためにも、マナー違反やトラブルなく行いたいですよね。
形見の財産的価値が110万円以下なのか、それ以上なのかで取り扱い方が大きく変わりますので、その点に注意して形見分けを行ってください。

*関連コラム
形見分けはどのようにすすめる?どの時期に始めればいい?

形見分けは現金でもできる?基本のマナーやお返しについても解説

この記事を執筆した人

執筆者
株式会社プログレス
編集部 S・A
祖父の遺品整理を行った経験から生前整理・遺品整理の重要性を実感。
より専門的なことを学び、困っている人の助けになりたいとプログレスへ入社。
「知識のない人にもわかりやすく伝える」を信条にプログレス各種サイトのコラムの執筆を担当。
持ち前の独特の感性で言葉を綴る編集部きっての女傑ライター。

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