遺品には故人の思い出がたくさん詰まっています。大切な人との思い出の品といつまでも一緒に過ごしていきたいけれど、使わないものを置いておくスペースが無い、遺品が大量にありすぎてどうしたらいいか分からない、という声も良く聞きます。
そのようなときに思い浮かぶのは、「遺品を売ることはできないの?」という疑問ではないでしょうか。自分で使えないのなら、これからも大切に使ってくれる方にお譲りしたい。その気持ちはよく分かります。実際に遺品は売っても問題はありません。しかし、無断で売ってしまうとトラブルの原因になることもあるのです。
当コラムでは遺品を無断で売ってはいけない理由、そして売ると決まったらどのように売ればいいのか、その方法から高く売るコツまでをご紹介します。
遺品を無断で売ってはいけない理由。それは、遺品には高額のものもあり相続が必要な可能性もあるからです。
遺品というと「故人の衣類や愛用品など、生前身に着けていた身近なもの」というイメージがありますよね。しかし、遺品の中には高級な腕時計やプレミア価格の付いているもの、高級な着物など値打ちのあるものも存在しています。
もしこれらの遺品について遺言書に分与の方法などが記載されていた場合は、遺言書に示された相続者に相続する権利があります。遺産整理をせず、相続者に無断で売ることはできません。遺産は法的な相続手続きを経て、相続が完了します。
まずは遺言書の有無を確認することから始める必要があります。
また、もし故人に借金があるなどの理由で相続人となる人物が相続を放棄した場合は、遺品を売ることはできません。借金などの負債に関する遺産は放棄するけれども高級な遺品だけは相続する、といった取捨選択はできません。
高価な遺品には税金がかかることもあります。生活用動産でなく、且つ貴金属や宝石、骨董品など1個または1組あたりの売却金額が30万円を超えると課税の対象です。
生活用動産とは、家具や家電、日常生活に使用できる衣類など生きていくための生活に必要なものを指します。貴金属や宝石、骨董品は生活必需品ではないということです。
原則として、生活用動産には税金はかかりませんが、家具であっても超高級品の家具などは課税対象となることもあります。
また、売却金額が30万円以上であっても譲渡所得の特別控除が適用される場合もありますので、必ずしも税金を支払わなければならないというわけではありません。
遺品を売ることが問題ないと決まったら、次に考えるのはどんな物が高く売れるのかということではないでしょうか。
一見価値が無いと思えるようなものでも、思いのほか高値で売れることもあります。
・骨董品
骨董品は思いもよらない高値で売れる可能性があります。骨董品の価値はプロの鑑定士でなければ正しい価値は分かりませんので、一度鑑定してもらうことをおすすめします。
・貴金属
貴金属を所有している人は多く、遺品として相続されることがほとんどです。相続したもののご自身の趣味に合わず身に着ける機会が無い貴金属は売ってしまう方が多く、安定して高値で売れる傾向にあります。
・ブランド品
ブランド品は状態が良ければ高く売れることがあります。遺品整理の中で出てきたブランド品は、型のやデザインが古いものが多いかもしれません。しかし中にはプレミアが付いたものなどもありますので、高額が付く場合があるのです。
・プレミア品や限定品
スニーカーやゲーム機、古銭などコレクターが多い商品は高く売れる可能性があります。プレミア品や限定品は驚くほどの高額で売買されています。
遺品を売るにはどのような方法があるのかご紹介していきます。
遺品整理を遺品整理業者に依頼した場合は、そのまま遺品整理業者に買い取ってもらうことができます。
遺品整理業者は、遺品の分別・不用品回収・遺品の買取まで一連の作業を一括で引き受けてくれる業者が多いです。全て1社にお任せできますから、時間の無い方や遺品が多く分別が大変という場合にはおすすめです。
買取専門業者とは、街中やCMなどで見かける様々な品物の買取を行っている店舗型の業者です。全国展開の大型店舗もあれば、個人経営の小型店舗まで多くの買取業者が存在しています。
遺品をフリマアプリやネットオークションに出品して売ることもできます。インターネットで売るメリットは、販売価格を本人の希望価格に設定できるということです。コレクターがいる商品は、遺品整理業者や買取業者に依頼するよりも高額が付く可能性もあります。
ただし、売れるか売れないかは出品してみないと分かりませんし、梱包や発送の手間もかかります。また、購入者とのトラブルも自分で対応しなければなりません。
ずっと大切にしてきた遺品。少しでも高く次に使ってくれる方へ引継ぎたいものです。なるべく高く売るにはコツがあります。
・付属品は忘れずに
付属品が残っている場合は、付属品もセットにして売るようにしましょう。付属品とは、鑑定書や保証書、箱や袋、紐などのことです。箱などは遺品整理の際に捨ててしまいがちですが、付属品とセットで売ることで価格が大幅に上がることも十分に考えられます。
・専門の業者に査定してもらう
買取業者にはそれぞれの店舗や鑑定士によって得意分野があります。特に骨董品は贋作も多く、目利きが非常に難しいので骨董品を専門に扱う鑑定士でなければ正しい鑑定はできません。その道に精通している店舗や鑑定士に査定してもらうようにしましょう。
遺品は故人が身に着けていた身近なものというイメージがありますが、中には高額のものもあり相続が必要な可能性もあります。
遺品を売ることに問題はありませんが、無断で遺品を売ってしまうとトラブルの原因になることがありますので注意が必要です。
また、遺品を30万円以上で売却した場合は税金がかかることもありますので、遺品にかかる税金の知識も知っておくといいでしょう。
加えて、遺品を売ると決まったら、高く売れる遺品の種類や高く売れるコツを事前に押さえておくことも大切です。
故人の思い出が詰まった遺品。トラブルになることなくベストな方法で処理できるように基本的な知識を押さえておきましょう。