終活をしたいと考えていても、具体的に何をすればいいのかわからないという人は少なくありません。
このコラムでは、そんな人のために終活でやることをリスト化して詳しくご紹介します。
「エンディングノートの作成」「財産の棚卸」「遺言状の作成」「持ち物・デジタルデータの整理」「葬儀・お墓の準備」「医療・介護の希望」「今後の人生設計」の計7選です。
終活を始めるタイミングや注意点などもあわせて解説しますので、ぜひ参考にしてください。
「終活」はその名の通り「終わりに向けた活動」という意味で、つまり人生の最期を後悔せずに迎えられるように行う活動のことです。
今までの人生を振り返り、やり残している事や叶えたい夢を再確認するとともに、今の自分に必要なものとそうでないものを仕分けて整理することで今後の人生をより充実したものにできます。
老後の不安が解消出来たり、自分の死後に家族へ迷惑を掛けることがないように準備できたりと「終活」にはメリットがたくさんあるのです。
以前は「終活」と聞くと「死ぬための準備」というネガティブなイメージを持たれがちでしたが、近年では「心配事を減らして、人生をより楽しむため」というポジティブなイメージを持つ人が大半を占めています。
コロナ禍を経験したことで、改めて自分の人生と向き合うことの大切さを学び、終活への意識が変化した人も多いようです。
実際に終活を行っている人はまだまだ少ないのが現状ですが、今後増えていくことが予想されます。
*参考サイト
終活に関するアンケート調査|回答者の7割が終活は「ポジティブな活動」と捉えるも、行動には至らず(ベストファーム株式会社:2023年)
エンディングノートは別名「終活ノート」とも呼ばれ、自身の情報や老後・死後の希望、家族や友人へのメッセージを書き留めるものです。
法的な拘束力はありませんが、書くことで気持ちの整理ができますし、病気や事故で判断能力が無くなってしまった場合や亡くなってしまった時に、家族へ思いや要望を伝える手段になります。
書き方やノートの種類に決まりはありませんが、どう書いたらいいのか迷ってしまう人は以下の関連コラムをご参照ください。
*関連コラム
「終活を始める人必見!エンディングノートの書き方をわかりやすく解説」
自分が病気や事故で管理できなくなった場合や死後に備えて、財産がどれだけあるのかを一覧にした「財産目録」を作成します。
相続ではローンや借金も対象となりますので、あれば記載しておきましょう。
しかし、借金は相続人に支払う義務が引き継がれてしてしまうので、できる限り自分で返済するのが賢明です。
使っていない銀行口座やクレジットカードなどはこの機会に解約しておきましょう。
・預貯金(銀行口座)
・不動産(登記簿)
・有価証券(株式、債券、手形など)
・生命保険(種類、保険会社名、連絡先)
・貴金属
・ローン、借金
など
遺言内容は法的に守られるため、相続などによる親族間のトラブルを防ぐためにも自身の意志を記しておきましょう。
遺言書には3種類ありますので、下記を参考にしてください。
・自筆証書遺言
遺言者が書く。自筆で氏名・日付・遺言内容を書き、署名・押印する。
・公正証書遺言
公証人及び証人(2人以上)のまえで、遺言者が内容を口述し、それを公証人が筆記する。各人が署名・押印する。
・秘密証書遺言
遺言者自身が遺言書を作成封印し、封印された遺言書の封紙に公証人及び証人(2名以上)が署名・押印する。
項目や形式が法律で決められており、条件を満たさないものは法的拘束力がなくなります。
そのため、弁護士や法務省の公証役場に相談して作成しましょう。
家財・生活用品など、身の回りの品を整理し、不要な物は処分します。
廃棄する以外にも家族や友人に譲ったり、リサイクルや寄付をする方法もあります。
スマホやパソコン内のデータは、家族との共有のクラウドやデバイスに入れ、不要な物は消去しておきましょう。
登録しているサイトのIDやパスワードはエンディングノートに記載しておき、使わない場合は解約しておきます。
SNSは家族が追悼アカウントに切り替えることもできますが、残してほしくない場合にはその旨を書いておきましょう。
葬儀やお墓の希望は、家族に伝えておきましょう。
悲しみの中、手配をしなくてはいけない家族の負担を減らすことができます。
葬儀の宗派や供養方法の希望、参列してほしい人の名前と連絡先をリストアップします。
生前予約している葬儀社があれば、連絡先を記載しましょう。
見落としがちなのが遺影写真です。
最近に撮った写真が無くて選ぶのに時間が掛かってしまうこともあるので、遺影用の写真を撮影しておく、または使ってほしい写真を選んでおくと良いでしょう。
先祖代々のお墓に入るのか、それ以外を希望するのかを意思表示します。
自分でお墓を購入しているのであれば場所や連絡先を伝えておきましょう。
近頃では「お墓の維持管理の負担を家族に負わせたくない」という思いから、お墓は要らないという人も増えています。
お墓を持たない供養方法もありますのでご紹介します。
・永大供養
家族に代わってお墓の管理をしてくれる。
希望の回忌まで、と期限がある。
・樹木葬
樹木や草花を墓標として埋葬する方法。
・海洋葬
遺灰を指定の海や湖に散骨して供養する方法。
・宇宙葬
故人の遺灰を納めたカプセルをロケットに乗せて打ち上げる方法。
希望や予算にあわせて検討し、メリット・デメリットを踏まえたうえで家族間で話し合って決めましょう。
不慮の事故などで意思疎通が取れなくなってしまった時のために、常用している薬やかかりつけ医の情報、加入している医療保険などを記載しておくと安心です。
最終的な判断は家族がすることになりますが、延命治療や臓器提供についての自身の希望も伝えておきましょう。
介護が必要になった場合、入りたい施設や用意している費用の情報があれば、家族もすぐに対応できます。
日々の仕事や子育てに追われ忘れてしまっていた「やりたいこと」を、終活を通じて思い出す人もたくさんおられます。
また、ずっと我慢していたことや面倒な人間関係も見直す良い機会です。
挑戦したいことや叶えたい夢を書き出して、これからの人生の目標や目的を明確にしましょう。
しばらく連絡を取っていないけれど会いたい人はいませんか?
我慢して付き合いを続けている人間関係はありませんか?
人に与えられた時間には限りがあります。
だからこそ、自分や大切な人のために使いたいですよね。
終活はいつから始めても構いません。
しかし体力や判断力、決断力が必要な作業も多いので、早めに始めるに越したことはありません。
「子供が結婚したのを機に」「定年退職したので」など、節目のタイミングで始める人が多いようですが、最近では20代や30代と若いうちから始める人も増えています。
筆者は「今」が始め時だと思います。
せっかくエンディングノートや遺言状を準備しても、自分の入院時や要介護時、死後に家族に見てもらえなければ意味がありません。
家族にはエンディングノートや遺言状の存在を伝えておきましょう。
終活は一度やって終わりではないので、完璧にしようと気負う必要もありません。
自分を取り巻く環境や人間関係はもちろん、気持ちや考え方も時間とともに変わってくるのは当然のことです。
1年に1回、3年に1回などのペースでエンディングノートを見直して、必要なら書き足したり直したりしましょう。
やることリスト7選は、基本的に順番通りに行っていくとわかりやすくなっています。
しかし順番に拘らず、やりやすいことから始めてもらっても大丈夫です。
家族がいない、資産がないから終活はしないという人もおられるでしょうが、そのような方ほど、いざという時に頼れる人がいないと対処できずに困ることになります。
役所や制度を頼り、特に介護や死後の資産管理、葬儀を取りまとめてくれる人を今から準備しておきましょう。
わからないことは専門家に聞いたり、終活イベントに参加したりして情報収集から始めてもいいかもしれませんね。