「終活」は人生の最期を後悔せずに迎えられるように行う活動のことです。
「いつかやろうと思っている」という人が増えていますが、具体的に何をすればいいのかわからないという人も少なくありません。
そこで当コラムでは、終活でやることをリスト化してわかりやすく解説し、終活を行うメリットや注意点もご紹介いたします。
終活やることリスト10選 1.エンディングノートの作成 2.財産の棚卸 3.老後資金の検討 4.相続対策 5.遺言状の作成 6.持ち物・デジタルデータの整理 7.人間関係の整理 8.葬儀・お墓の準備 9.医療・介護の希望 10.今後の人生設計 |
この記事を監修した人
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。夫の身内6人の看取りや介護をし、生前整理の大切さを痛感。
また看護師時代ICUに勤務し、人の最期もたくさん見てきました。
そんな経験を元に元気なうちから生前整理を!という思いで、片付けと合わせてお伝えしています。
終活で行う10項目をわかりやすく解説いたします。
1. エンディングノートの作成
エンディングノートは「終活ノート」とも呼ばれ、個人情報や老後・死後の希望、家族や友人へのメッセージを書き留めます。
法的な拘束力はありませんが、病気や事故で判断能力を失ったり死亡したりした際に、家族への思いや要望を伝える手段になります。
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2.財産の棚卸
自身で管理できなくなった場合や死後に備えて、所有する財産を一覧にした「財産目録」を作成します。
相続ではローンや借金も対象となり、相続人に支払い義務が引き継がれます。
借金があれば記載するのはもちろんですが、できる限り自分で返済するほうが賢明です。
使っていない銀行口座やクレジットカードなどはこの機会に解約しておきましょう。
・預貯金(銀行口座) ・不動産(登記簿) ・有価証券(株式、債券、手形など) ・生命保険(種類、保険会社名、連絡先) ・貴金属 ・ローン、借金 など |
3.老後資金の検討
2019年に金融庁が公表した報告書を基に「老後2,000万円問題」が持ち上がりました。
この2,000万円という金額はあくまでも最低限生活するために必要な資金の合計額です。
住宅の修繕費用や医療・介護費用、結婚や出産の祝儀などの支出は含まれません。
つまり、ゆとりのある老後生活を送るためには2,000万円では全く足りないということです。
老後資金シミュレーションを行っているサイトもあるので、自分の老後資金にいくら必要か調べてみると良いでしょう。
どれくらいの貯蓄が必要なのかがわかれば、今から対策を講じることもできます。
*参考サイト
老後資金はいくらあれば安心?計算方法と具体的な金額を解説(2023年:朝日新聞デジタル)
4.相続税対策
相続では、遺産の合計額が基礎控除額を上回る場合は相続税の課税対象になります。
相続税対策として「生前贈与」「生命保険への加入」などがありますが、詳しくは税理士など専門家への相談をおすすめします。
基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数 |
5.遺言状の作成
相続による親族間のトラブルを防ぐためにも自身の意志を記しておきましょう。
遺言状は、項目や形式が法律で決められており条件を満たさないものは法的拘束力がなくなります。
そのため、弁護士や法務省の公証役場に相談して作成することを推奨します。
遺言状には3種類ありますので、下記を参考にしてください。
自筆証書遺言:遺言者が書く。自筆で氏名・日付・遺言内容を書き、署名・押印する。 公正証書遺言:公証人及び証人(2人以上)の前で、遺言者が内容を口述し、それを公証人が筆記する。各人が署名・押印する。 秘密証書遺言:遺言者自身が遺言書を作成封印し、封印された遺言書の封紙に公証人及び証人(2名以上)が署名・押印する。 |
6.持ち物・デジタルデータの整理
家財・生活用品など身の回りの品を整理し不要な物は処分します。
廃棄する以外にも家族や友人に譲る、リサイクルや寄付などの方法もあります。
スマートフォンやパソコン内のデータは、家族との共有クラウドやデバイスに入れ、不要な物は消去しておきましょう。
登録しているサイトのIDやパスワードはエンディングノートに記載し、使わない場合は解約してください。
7.人間関係の整理
しばらく連絡をとっていないけれど会いたい人、反対に我慢して付き合いを続けている人間関係もあるでしょう。
限りある時間を自分や大切な人に使うために人間関係を見直しましょう。
人間関係の整理の一環として「年賀状じまい(年賀状を送る習慣をやめること)」を行うのもおすすめです。
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8.葬儀・お墓の準備
葬儀やお墓の希望を伝えておけば、手配する家族の負担を減らすことができます。
・葬儀に参列して欲しい人の名簿や遺影写真を準備しよう
宗派や供養方法の希望、参列して欲しい人の名前と連絡先をリストアップします。
生前予約している葬儀社があれば連絡先を記載しましょう。
遺影用の写真を撮影しておく、または使ってほしい写真を選んでおくのも忘れないでください。
・お墓の希望をまとめる
先祖代々のお墓に入るのか、それ以外を希望するのかを意思表示します。
自分でお墓を購入しているなら場所や連絡先を伝えておきましょう。
「維持管理の負担を家族に負わせたくないからお墓は要らない」という人向けに、お墓を持たない供養方法をご紹介します。
希望や予算に合わせて検討し、メリット・デメリットを踏まえたうえで家族間で話し合って決めましょう。
永代供養:家族に代わりお墓の管理をしてくれる。希望の回忌まで、と期限がある。 樹木葬:樹木や草花を墓標として埋葬する方法。 海洋葬:遺灰を指定の海や湖に散骨して供養する方法。 宇宙葬:遺灰を納めたカプセルをロケットに乗せて打ち上げる方法。 |
9.医療・介護の希望
常用している薬やかかりつけ医の情報、加入している医療保険などを記載します。
延命治療や臓器提供についての希望も伝えておきましょう。
意思疎通が取れない、介護が必要になった時などに入りたい施設や用意している費用の情報があれば家族もすぐに対応できます。
10.今後の人生設計
日々の生活に追われ忘れてしまっていた「やりたいこと」を、終活を通じて思い出す人もたくさんおられます。
挑戦したいことや叶えたい夢を書き出して、これからの人生の目標や目的を明確にしましょう。
メリットを知れば、ますます意欲的に終活に取り組めるようになるでしょう。
・家族の負担を軽減できる
悲しい別れで心が弱っている時に、遺品整理や各種手続きをしなくてはいけない遺族の負担は計り知れません。
終活しておけば家族の負担を大幅に軽減できます。
・相続トラブルを防げる
遺言書を作成し、遺産や遺品の分配について明記しておけば親族間での相続トラブルを防ぐことにつながります。
・住環境が快適になる
不用品を処分すれば、探し物や掃除もしやすくなり生活がより快適になります。
加えて、地震などの災害時に怪我をしたり、逃げ遅れたりするリスクを減らすこともできます。
・今後の人生が充実する
終活が人間関係や将来設計を見直すきっかけとなり、より充実した日々をスタートさせる絶好の機会になります。
終活は無理をせず、楽しんで行うことが大切です。
・体力が必要なものから始める
持ち物の仕分けや不用品の処分は、時間と労力がかかるうえに判断力や決断力も必要になります。
また、介護施設やお墓探しを行う場合は見学のため何カ所も回ることになるでしょう。
体力が必要な作業こそ早めに始めるのが得策です。
・できることから始める
「体力が必要なものから始める」方法に、気分が乗らない場合は、やってみようと思える項目から始めるのも一つの方法です。
エンディングノートを書く、友人のリスト作りなど、自分がやりやすいものから始めてください。
・判断に迷った場合は一旦保留にする
要不要の判断に迷った場合は、悩み続けず一旦保留にして時間を置きましょう。
数カ月~1年程寝かせてみて、使う機会があれば必要なもの、使わなければ不要なものと判断できます。
・前向きに取り組む
例え一部の項目しかできなくても、将来の不安や家族への負担は確実に減っています。
快適な住まいになる、自分史の振り返り、といった楽しい部分に着目して前向きに取り組みましょう。
・気長に取り組む
一気に進めるのはかなり大変です。
日常生活に支障が出ない範囲で、自分のペースで進めましょう。
・家族と情報を共有する
せっかくエンディングノートや遺言状を準備しても、いざという時に家族に見てもらえなければ意味がありません。
家族にはエンディングノートや遺言状の存在を伝えておきましょう。
・定期的な見直しをする
終活は一度やって終わりではないので、完璧にしようと気負う必要はありません。
自分を取り巻く環境や人間関係はもちろん、気持ちや考え方も時間とともに変わるのは当然です。
1年に1回、3年に1回などのペースでエンディングノートを見直して、必要なら書き足したり直したりしましょう。
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終活はいつから始めても構いませんが、体力や判断力、決断力が必要な作業も多いので、早く始めるに越したことはありません。
筆者は「今」が始め時だと思いますが、人生の節目やターニングポイントとなる出来事を機に始めるのも良いでしょう。
楽天インサイト株式会社が行った調査によると、「終活を行っている・行う意向がある」人が約7割でした。
20代・30代の若い世代でも平均5割を超えています。
終活をする・したいと思ったきっかけは「自分の健康に不安を感じたこと(20.8%)」という人が最も多いです。
年代別では、20代が「生涯独身だろうと思ったこと(17.1%)」、30代が「子供ができたこと(23%)」でした。
40代・60代は「自分の健康に不安を感じたこと(40代:22.4%、60代:28.2%)です。
50代は「家族や大切な人が亡くなったこと(25.4%)」という結果になりました。
近頃では、年代を問わず終活に関心を持つ人が増えているのです。
*参考サイト
「終活」のきっかけは、20代で「生涯独身だろうと思ったこと」、30代で「子供ができたこと」がトップ 終活に関する調査(楽天インサイト株式会社:2024年)
一言で終活と言ってもその内容は多岐に渡るため、何に困るかは人それぞれです。
簡単にまとめると、終活に関するすべての悩みを幅広く相談できるのは、生前整理アドバイザーや遺品整理・生前整理業者です。
相続税や介護のことなど、より専門的な悩みなら税理士や地域包括支援センターなどに相談するのが良いでしょう。
この章では、終活のお悩み別にどこに相談すれば良いかをまとめています。
終活のやり方を教えてほしい |
市区町村役場の相談窓口、終活イベント・終活セミナー、遺品整理業者・葬儀社などが主催の民間の終活相談 |
荷物の仕分けや不用品の処分について相談したい |
生前整理アドバイザー、遺品整理・生前整理業者 |
老後の資金について相談したい |
ファイナンシャルプランナー、銀行の窓口 |
葬儀やお墓のことを詳しく聞きたい |
葬儀業者、冠婚葬祭互助会、寺院、霊園 |
介護について相談したい |
地域包括支援センター(高齢者あんしん相談センター)、市区町村役場や社会福祉協議会の相談窓口、医療機関 |
相続に対する不安や悩みを相談したい |
税理士、弁護士、司法書士 |
家族がいない、資産がないから終活はしないという人もいらっしゃるでしょう。
しかし、そのような方ほど、いざという時に頼れる人がいないと対処できずに困ることになります。
役所や制度を頼り、特に介護や死後の資産管理、葬儀の手筈を今の内からしておきましょう。
終活は、自分自身の将来をより良くし、そして残される家族の負担も減らせる良いこと尽くめの活動です。
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