自分が死亡した後に家族へ負担を掛けないよう、身の回りの物を減らしておくことは終活の中でも一番大変な作業といえるでしょう。
自分の死後を意識した身辺整理に関わらず、普段の生活から不要な物を取り除いて必要な物のみに囲まれて暮らすということは、質の良い生活を送ることができる生活改善の方法と一つとして注目されています。
今回は身の回りの物を捨てるスキルや、そのスキルを活かして終活をスムーズに行う方法についてご説明いたします。
捨てるスキルとは、物の必要性を見抜き、自分にとって縁のない物を手放すという考え方です。
捨てるスキルが身についていない人は、自分の生活を豊かにしてくれる物の判断ができないまま、お部屋に不要な物を溜めこみがちになっていることがあります。溜めこんだ物を捨てるとき、多くの人はなぜ使わないのに購入してしまったのか、なぜ捨てることになったのかを考えると思います。余計な物を買ってしまったことを反省し、無駄遣いをしないよう次回の買い物で経験を活かすことができます。
このように過去の行動を振り返りながら品物を整理することでご自身の心と向き合うことができ、自覚できなかった心の乱れやストレスに気付くことができるのです。
捨てるスキルを磨いて部屋の中の物を自己管理できる数まで減らせば、物を無くすことがなくなり時間に余裕を持って行動することができます。
喪失物を探す機会が減少し、結局見つからなかった物を買い足す手間がなくなるため、ストレスが減り、心に余裕が生まれて人間関係も良好になりやすくなります。
外出用の服などは最小限の数に留めておけば、毎日何を着るかで迷わずに済みます。
また、必要最低限の物を部屋に置くというルールを作ることで無駄な出費を減らすことができます。減らした分は旅行費用やご自身のスキルアップのための学費に充てるなど、自己投資により磨きをかけることにも繋がるのです。
身辺整理としてお部屋の片付けを始めようとすると、様々な物を見るたびに思い出が蘇ってしまい、手が止まりがちです。
物の必要、不必要を機械的に判断できるよう、ルールを決めて捨てることを意識すると順調に作業を進めることができます。
目に入った物をとりあえず棚に収納するだけでは物の数は減りません。作業をし続けているのに部屋が綺麗にならず、普段片付けをする習慣がない方はくじけてしまうかもしれません。
やみくもに手をつけるのではなく、今日中にこれだけ片付けよう、これぐらいのスペースが空くまで物を処分しよう、など目標を決めて遺品を整理するとスムーズに片付けることができます。
まずはタンスや棚に収納された物を全て出し、一カ所に集めて見ましょう。
一つずつ取り出してから処分するよりも、一度全部出してから分別するほうが片付けたい場所に放置されていた物の全体量を把握でき、片付けのスピードが速くなります。
収納された物を全て出した後は、必要な物と必要でない物を順に分別していきます。
まずは一目で今後使う機会がないと判断できる物から処分していきましょう。
使用期限が過ぎた割引券やクーポン、インクの出ないペン、汚れた衣類などはすぐに処分できると思います。
賞味期限が切れた食品、変色している食品も食べることができないため速やかに処分しましょう。
何の部品か分からないけどもとりあえず保管しているネジや紐、使うべきタイミングが訪れないまま溜めているホテルのアメニティなどは収納スペースを狭める原因となりますので、全て処分します。
このとき可燃ゴミであると一目で判断できる物が混ざっていた場合は、そのままゴミ袋に入れてしまいましょう。
処分する決心がつかず、どうしても迷ってしまう物は保留用の箱に入れ、残りの物を分別していきます。
必要な物と必要でない物の分別が完了した後は、必要な物をタンスや棚に収納していきます。
ぎゅうぎゅうに詰めるより、少し余裕を残して収納すれば取り出したときに中身がぐちゃぐちゃになることがありません。使用頻度が高い物は引き出しの手前に収納するなど、片付け後も物が散らからない工夫を取り入れながら整理をしてみましょう。
捨てることに抵抗がある場合は買取査定を利用されてみてはいかがでしょうか。
ゴミを排出することなく物を処分できるだけでなく、価値に見合った金額に引き換えてもらえるため、少額の利益も手に入れることができます。
読み終わった本や遊び終わったゲームソフト、サイズが合わなくなった服など、店舗によって買取対象品目は様々ですので、事前に調べてから品物を持ち込みましょう。
お皿やタオルのギフトなど、未使用のまま保管されている物は想像以上にご自宅の中に眠っています。
押し入れや棚に収納されていたものを全て出す段階で発見できると思うので、分別をしながら買い取ってもらえそうな物を探してみましょう。
近辺に買取査定を行っている店舗がない場合はフリマアプリの利用もおすすめです。
家族に迷惑を掛けたくないからといって、むやみに物を処分する必要はありません。思い出の品や尊敬する人から譲ってもらった物など、二度と取り返すことができない思いが込められている物は保管しておきましょう。
生前整理を家族や遺品整理業者に手伝ってもらう方もいらっしゃるかもしれませんが、第三者によって必要な物や書類を処分されてしまうトラブルには注意しておきましょう。
他の人と一緒に遺品整理をする場合は、捨てる前にご自身に尋ねてもらうよう声を掛けておくと安心です。
また、目に見える書類だけでなく、パソコンやスマートフォンに保存された財産を整理することも忘れないようにしてください。パソコンやスマートフォンの中には銀行口座の情報や仮装通貨、ネット証券など様々なデジタル資産が残されています。
デジタル資産の整理と同時に、不要なスマートフォンのアプリや写真も整理すればスマホ内の容量を増やすことができます。
片付けが終わった後は財産目録を作成しましょう。
遺品全てを記録することは大変手間が掛かりますので、貴重品や骨董品など、相続税が発生する可能性がある物、ご自身の死亡後の手続きとして必要になる書類など、死亡後に家族の負担を減らすことができる情報に絞って記録することがおすすめです。
財産目録には名前だけでなく、財産の詳細についても記載しておきましょう。
例えば自動車や原付自動車の場合は、登録番号や車種、貴重品や骨董品の場合は名称、製造番号、価格などを記載しておきます。
財産目録は司法書士や税理士に依頼して作成することもできますが、相続税が発生しそうな財産がご自宅にない場合は簡易的な目録を作成すれば問題ありません。
不要な物を整理しておくことで家族への負担を減らすことができるだけでなく、本当に必要な物、質の良い物に囲まれて生活することで日々の生活も充実させることができます。
今後の人生をより良いものにするためにも、まずは明らかなゴミを処分することから始めてみましょう。
計画的に生前整理を行うためには判断力や体力が必須になりますので、衰えてしまわないうちに早めに取り組んでしまいましょう。