身近な人が孤独死した知らせを聞いて、冷静に判断をして行動できる人は少ないと思います。とにかく落ち着いて、なおかつ迅速に一つずつ必要事項に対応していく必要があります。
この記事を監修した人
- 小西 清香氏
- 整理収納アドバイザー
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。夫の身内6人の看取りや介護をし、生前整理の大切さを痛感。
また看護師時代ICUに勤務し、人の最期もたくさん見てきました。
そんな経験を元に元気なうちから生前整理を!という思いで、片付けと合わせてお伝えしています。
孤独死が起こる状況とは?
孤独死とは他人に看取られることなく一人で亡くなることを指すため、基本的には一人暮らしの方に起こります。原因としては様々な要因で社会から孤立したことによるセルフネグレクトの末の病死や、持病の発作による突然死、自殺などが挙げられ、誰にも死亡の事実を知られないことから、遺体の発見は非常に時間がかかります。
こうした事情から、孤独死の知らせは唐突に届けられる場合がほとんどです。
孤独死から葬儀までの流れ
身内の訃報=孤独死の知らせを受け取ったら然るべき機関に連絡して手続きを行い、葬儀を行う必要があります。その後には「相続」「部屋の退去」などの作業が続きますが、このページでは葬儀までを一区切りとして一連の流れをご紹介します。
警察からの連絡
孤独死が起こった原因に事件性がないか現場検証と検視・検死(検視は警察による事件性の有無の調査、検死は医師による死亡状況の調査)を行う必要があるため、遺族に孤独死が発生したことを知らせる役目は多くの場合警察が担う場合が多いです。警察からは1回目の報告と、検視が済んで引き渡しが可能な状態になった際の計2回連絡がありますので、「遺体の引き渡しはどこの警察署で行われるのか?」「身元確認に必要な品はあるか?」など必要な情報は全てここで聞いておきましょう。
葬儀の段取り決定
遺体の引き渡しは検視の進行具合によって日数が大きく変わります。事件性が確認されない場合には早くて半日程度で完了しますが、場合によっては数週間程度かかることもあるため、その間に遺体の輸送方法やそれらをまとめて依頼する葬儀社の選定などを事前に行っておきます。
故人が孤独死された場合であっても葬儀自体は一般的に行われている方法と変わりありません。依頼する葬儀社を決めて「一般葬」「家族葬」「一日葬」など希望する葬儀の種類を選択します。遺体の損傷が激しい場合には検視後すぐに火葬が行われ、お骨の状態で帰郷するケースもありますので、それも合わせて覚えておきましょう。
死体検案書の受け取り
警察から引き渡しの連絡があったら、指定の警察署まで向かいます。到着後には簡単な事情聴取(一般的にイメージされるような取り調べではなく、亡くなった理由や孤独死に至った原因の事実確認)が行われた後に死体検案書と現場検証の際に使用した鍵や一時的に回収されていた貴重品を受け取ります。
この後には葬儀社が指定の方法で遺体を輸送してくれます。
関係者・身内が孤独死した後の手続き
葬儀までの流れは先述の通りですが、関係者・身内が死亡した場合でも悲しみに呆然としている時間はほぼありません。以下の手続きを各所への連絡と並行して行う必要があります。
ただでさえ精神的ショックを受けているときに様々な手続きを求められると気が動転してしまう方も多いかと思いますが、やるべき事柄や方式はある程度決まっています。迅速に行うべきではありますが、まずは落ち着いて、焦らずに対処するようにしましょう。
死亡届の提出
遺体が運び出されて検視・検死が行われた後には、警察医による診断であれば「死体検案書」、医師の診断なら「死亡診断書」のいずれかを受け取ることになります。この用紙には死亡診断書(死体検案書)、死亡届の2種類の書類が付属しており、火葬時や葬儀後の手続きに使用します。特に死亡届は「死亡の事実を知ってから7日以内」に死亡者の死亡地・本籍地もしくは届出人の所在地の市役所・区役所に提出する必要があるため、可能な限り急いで提出する必要があります。
死亡届が受理されたら「埋火葬許可証」が発行され、火葬・埋葬が許可されます。法要後の提出まで大切に保管しましょう。
保険・年金手続き
「健康保険資格喪失届」「世帯主の変更手続き」「年金受給の停止」などの手続きは死亡後14日以内に行う必要があります。どの書類をどこに提出するのかをきちんと把握し、適切に手続きできるようにしましょう。
外出準備
葬儀の日程が決まったら勤務先に忌引きの連絡を行ったり、故人が遠方に住んでいる場合であれば葬儀・遺品整理のために数日滞在することを考えて着替えや喪服の準備をしておくなど、外出の準備を整えておく必要もあります。
業者の選定
葬儀社への依頼に加え、場合によっては遺品整理のサポートや原状回復のための特殊清掃・ハウスクリーニングなどを専門業者に依頼して対処してもらうことも検討しなければなりません。料金面だけではなく、サービス内容や対応の速さなどを比較して信頼できる業者に作業を依頼しましょう。
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所有している物件で孤独死が起こった際の手続き
所有しているマンションやアパートなどで孤独死が起こった場合は、現場を発見するところから適切な処理までを行うことになります。
発見
賃貸や集合住宅に住んでいて近隣から死臭と思しき悪臭が漂ってきた場合、まずはオーナー・大家さんに連絡が行く場合が多いです。連絡を受けた方は緊急連絡先への連絡や訪問を行うなど、まず貸主にコンタクトを取る方法を考え、それでも連絡がつかない場合は室内の確認を行います。
この際は周辺への二次被害や無用な混乱を防ぐためにも、ご自身だけではなく警察に連絡して現場確認を行ってもらうようにしましょう。
連絡
借主の死亡が確認されたら、警察が遺体を運び出してくれます。身元の調査と遺族への死亡連絡は警察が行ってくれますので、こちらからは原状回復・遺品整理の協力を依頼する連絡を行います。
困り事は専門家に依頼する
身近な人が孤独死した場合の手続きや取るべき行動が知識として頭に入っている場合でも、いざというときには人は気が動転してしまうものです。当然のことながら、人の死というセンシティブな出来事に直面したことで心の平静を保っていられず、心身共に動けなくなってしまう方も多くいらっしゃいます。
そのような場合でも手続きや対応は待ってくれません。どうしても動けない、もしくは何から手を付ければいいのか分からないという場合には、遺品整理の専門業者に依頼するのもおすすめです。
遺品整理業者はその名の通り遺品整理をサポートする専門家ですが、対応してくれる作業は遺品の仕分けだけではなく、原状回復のための特殊清掃・ハウスクリーニングや各機関への手続き代行など孤独死の後始末に関わる全ての作業を代行してくれるところが多いです、
必要な作業を一括で任せられるメリットだけではなく、ご自身で対処できない事柄を見つける度に対応してくれる業者を探す工程を挟んでいると、時間と予算がいくらあっても足りなくなるため、状況を見て先回りした提案を行ってくれ、必要な場合はそのまま解決を依頼できるスピード性は専門業者ならではのメリットがあります。
加えて、遺族が遠方に住んでいたり、高齢で動けるのが自分一人だったりする場合に全ての作業に対応しなければならないというプレッシャーを軽減してくれ、作業面・精神面共にサポートしてもらえるのが最大のメリットであるといえます。
まとめ
孤独死は突然知らせられるため気が動転してしまうかもしれませんが、やるべき作業自体は決まっており、順序良く確実に行っていけば十分に対応可能です。そのため、まずは落ち着いてご自身が置かれている状況を判断することが大切です。その上でどうしても難しいと判断した場合には専門業者への依頼も視野に入れ、確実に対応できるようにしましょう。