自分自身に関心が無くなるセルフネグレクトは家をゴミ屋敷化させたり、孤独死の危険性もある深刻な症状です。ただ、端から見るとセルフネグレクトは単なる怠けのように感じてしまうこともあり、はっきりと内情を理解している方は少ないのではないでしょうか。
今回はそんなセルフネグレクトの原因と解決方法について紹介します。
この記事を監修した人
- 小西 清香氏
- 整理収納アドバイザー
元汚部屋出身の整理収納アドバイザー。夫の身内6人の看取りや介護をし、生前整理の大切さを痛感。
また看護師時代ICUに勤務し、人の最期もたくさん見てきました。
そんな経験を元に元気なうちから生前整理を!という思いで、片付けと合わせてお伝えしています。
セルフネグレクトとは
まずはじめにセルフネグレクトについて紹介します。
セルフネグレクトとは「自己放任」とも呼ばれるように、自身の生活への意欲を失くしている状況です。このような状況になれば、部屋の清掃などは行わず、入浴、歯磨きなども行いません。つまり、部屋は荒れ放題になり、いわゆる汚部屋やゴミ屋敷と変貌を遂げます。
主な症状が
・部屋の片付け、掃除を行わない
・入浴、歯磨きを行わない
・不規則な生活
・食事に気をつかわない
などです。
また、孤独であるとセルフネグレクトの起きやすさは上がる傾向があるため、一人暮らしの方がなりやすいとも言われています。
セルフネグレクトはめんどくさいで起きる?
では、セルフネグレクトはどうして起きるのでしょうか。「めんどくさい」「だるい」といった理由で起きるものなのでしょうか。
先に結論を言ってしまうと、セルフネグレクトは単なる「めんどくさい」気持ちだけで引き起こされるものではありません。さまざまな原因から「めんどくさい」といった気持ちが引き起こされ、セルフネグレクトとなります。
原因を紹介します。
身体的原因
高齢者になれば身体機能が低下します。視力が下がって片付けるものが見えなくなったり、体が思うように動かないため、若いころのように掃除をすることができなくなります。片付けや掃除への意欲はあっても目がよく見えない、体が動かないといった理由から片付けや掃除を「めんどくさい」と感じ、セルフネグレクトになるのです。
精神的(病的)原因
過労やいじめ、大切な人との死別などの理由から心に大きな傷ができてしまい、うつ病や統合失調症になり、片付けや掃除への正常な判断ができなくなります。認知症も同じことが言え、年を取ることにより物忘れが多くなったり、場所のレイアウトなどを考えるのが困難になります。また、アルコール依存症などの依存症も同じく、片付けや掃除のことを考えることができなくなります。片付けや掃除そのものを判断できなくなり「めんどくさい」と感じ、セルフネグレクトとなります。
社会的原因
家族との死別や失業などで、社会的に孤立してしまうと、心がその孤立に耐えられず、先ほどの精神的原因を引き起こすことがあります。社会的に常に孤独であると、精神的要因が起きたとき誰にも助けを求められないので、セルフネグレクトになりやすく、抜け出すのが困難であると考えられています。
経済的原因
経済的要因は身体的にも精神的にも問題がなくても、栄養バランスの良い食事が取れなかったり、病気にかかった時、適切な治療を受けられないなどの弊害が起こります。そのような弊害から身体的原因を引き起こしやすくなり、セルフネグレクトへとつながっていきます。
このように大きく分けると4つの原因が存在します。また、上記の原因が全てという訳ではなく、上記以外の原因がある方ももちろんいらっしゃいます。ただ、単なる「めんどくさい」という理由でセルフネグレクトになる方はいません。
端から見れば怠けにとらえられる状況も、その裏側には仕事で大きなストレスがかかっている、家事育児に疲れているなどの理由が存在しています。
サボるとセルフネグレクトになる?
このように説明すると、セルフネグレクトは重大な病気のようにも思われますが、「めんどくさい」といったサボりから引き起こされるケースもあります。
日々少しずつサボることで何もしないことに慣れ、掃除をしなくても何も感じなくなります。
ただ、サボりたくなる原因はセルフネグレクトの身体的、肉体的、社会的、経済的原因を含んでいることが大半です。サボることをやめるより、セルフネグレクトの原因の解決を進めることが、”サボること”そのものを解決する近道になります。
つまり、「めんどくさい」という気持ちからサボるとセルフネグレクトとなってしまいますが、サボる原因はセルフネグレクトの原因と同じであるため、サボっていたからセルフネグレクトになったのではなく、セルフネグレクトの原因を抱えていたからサボりたくなったということです。
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セルフネグレクトの解決方法
では、原因が分かったところでセルフネグレクトの解決方法について紹介します。
治療を受ける
身体的要因でセルフネグレクトが起きている方は、治療を行わなければ解決することはありません。また、うつ病や統合失調症の方は、精神科などを受診して心の回復に全力で取り組みましょう。そのため、すぐに汚部屋やゴミ屋敷を片付けることはできません。早急に汚部屋やゴミ屋敷の解決をする必要がある場合は片付けを代行してもらえるよう、家族や友人、業者などを頼りましょう。
環境を変える
いじめや過労などでセルフネグレクトが起きている場合はその環境を変えなくては、いつまでも抜け出すことはできません。自身の夢などを諦めたくないなどの気持ちから環境を変えるのが難しいかもしれませんが、セルフネグレクトになるほどのストレスを抱え、日々を過ごすことは今後の人生において不利益のほうが多いことは明白です。一度自分の環境を見直し、変えることを検討しましょう。
周りを頼る
認知症や社会的要因などは自分一人の力では解決できません。認知症であれば、施設や病院などに入ることが必要ですし、孤立感を感じているのであれば、周りの方とコミュニケーションを取る必要があります。そのため、自分にセルフネグレクトが起きて、困っているといったことを何とか周りの方に伝えましょう。また、周りの方も様子がおかしいと思ったらすぐに声をかけてあげ、頼れる状況を作りましょう。
原因ごとで解決方法は変わりますが、とにかく一人で抱え込まず、周りの方と一緒に解決できるよう進めましょう。
セルフネグレクトは高齢者以外にも起きる
ここまで説明して、セルフネグレクトは高齢者に起きやすいものと思われるかもしれません。ただ最近では若者にもセルフネグレクトは起きています。
最後に若い方にもセルフネグレクトが起きやすい理由を紹介します。
外に出ない
最近はコロナの影響から、自宅から出ずともテレワークや宅配サービスなどで全ての生活が完結できるようになりました。そのため、外部の方とコミュニケーションを取る機会が減り、社会的原因を引き起こしやすくなっています。
また人と会わないことで、家に人を呼んだり、外部の方と会わないため、身だしなみを怠るといったことから社会的原因を加速させているようです。
一人暮らし
一人暮らしを人生で初めて行う時は、親の存在や今までの環境をありがたく思うものです。その心持ちのまま一人暮らしをしてしまったことで、片付けなどの時間が確保できず、徐々に汚れていきセルフネグレクトを発症します。家事にあてる時間を確保できるよう、生活を見直しましょう。
ストレス
一人暮らしの不便さやブラック企業などの理由により、多くの若者がストレスにさらされています。自分の環境を一度見直してみましょう。
まとめ
セルフネグレクトは孤独死の原因ともなる非常に深刻な症状です。孤独死をしてしまえば、遺された方に特殊清掃や劣悪な環境での遺品整理を強いることになってしまいます。
もし、自分がセルフネグレクトではないかと考える方は、自分の今置かれている状況を冷静に判断し、周りのサポートを求めましょう。遺品整理業者などの民間業者もそのような現場の掃除を行ってきたからこそ、適切なアドバイスを行いながら片付けなどを手伝ってくれます。もし頼れる方がいない場合は業者依頼を検討してみてはどうでしょうか。
この記事が少しでもセルフネグレクトに悩む方の助けになりましたら幸いです。お読みいただきありがとうございました。