遺品整理を行う目安として、親族一同が集まる四十九日の間に行うことがおすすめだと言われています。けれども法要や諸手続きに追われ、遺品整理まで手が回らない可能性も考えられますよね。
今回は四十九日の間に遺品整理をやるべきだと言われる根拠や、四十九日にやってはいけないこと、そして四十九日以外の期間に遺品整理を行っても問題ないのだろうかという疑問について詳しくご説明させていただきます。
人は死亡すると四十九日間は現世をさまようと考えられており、故人が極楽へ旅立つ四十九日に法要が行われます。遺品整理を四十九日の間に済ませるべきだと言われる理由として、まず一つ目は故人が心残りのないようあの世へ旅立てる支度をしてあげるためだと言われています。
そして、故人が死んでから間もないこの期間に遺品整理をすることで、金銭的なデメリットも回避できます。遺品整理の際に見つけた支払いの明細やエンディングノートから、生前は把握しきれていなかった請求(サブスク利用など)の存在に気付き、解約をすることで利用者がいないまま金額を支払い続けることがなくなるからです。逆に、遺品整理を延期し続けていると公共料金や月額利用サービスの支払明細書に気付かず、不要な料金を支払わなければならなくなります。
さらに、遺品整理をすることで、相続税の算出をすることができます。相続税申告書の提出期限は被相続人の死後10カ月以内と定められており、この期限を過ぎると税金の控除を受けられなくなるだけでなく、延滞税を支払わなければなりません。
相続税を算出するためには被相続人の土地、不動産を洗い出さなければいけませんので、四十九日の間に遺品整理をして税が発生する財産を明瞭にしておく必要があります。
遺品の価値を明確にしておくことで、親族間で形見分けを比較的スムーズに行うことができます。四十九日法要は親戚が一堂に集まるタイミングですので、それまでの間に、できるだけ早い段階で相続すべき遺産や遺品を把握すれば遺品相続、遺産分配に関するトラブルも免れることができます。
遺品整理は必ず葬儀や相続の相談が終わってからじっくりと取りかかりましょう。
死亡が確認された直後に遺品整理を行うと、葬儀のために集まった家族や親戚に”故人に対する悔やみ、寂しさを感じてないのか”、”知らない間に勝手に遺品整理が進んでいる、貴重品を持ち出しているのではないか”と良くない印象を与えてしまうかもしれませんので、誰がいつ遺品整理を行うかは必ず確認し、親族の同意を得てから遺品整理を行うことが望ましいです。
遺品整理を行う際、優先的に取り掛かりたいのが「重要書類や個人情報に関する物の捜索」です。保険証や年金手帳の返納、公共料金の支払い手続きなど、死亡後速やかに手続きをしなければいけない書類はすぐに処理をしましょう。
これらの手続きを完了させないまま遺品整理を行うと、誤って諸手続に必要な書類を遺品と一緒に処分してしまう恐れがあります。
逆に、急いで整理するべきでないのは、故人の写真や生前大切にしていた趣味の道具です。どうしても故人を思い出してしまい、精神的に辛くなったり、判断を誤って処分してしまうなど取り返しのつかないことになる可能性もあります。遺品整理の時に思い出の品を入れる箱を用意し、気持ちが落ち着いてから仕分け作業や供養をしましょう。
遺品整理にかかる日にちの目安は最短で3日と言われています。けれども自治体のゴミ回収ルールに従って捨てる場合は、少なくとも2週間程度はかかると予測して計画を立てるようにしてください。
四十九日以降に遺品整理をしても問題ありません。
大切な人が亡くなったショックは大変強く、数カ月程度では消えない場合も十分に考えられます。気持ちの整理がつかないうちに遺品整理に取りかかっても、必要な物と不必要な物をうまく判断できないまま、十分な整理を行うことができません。
故人が亡くなった事実を受け入れ、気持ちの整理が付いてから遺品整理をするようにしましょう。
ですが、市役所へ返納するべき書類や公共料金の納付書など、期限が決められている物が後ほど発見される可能性もありますので、なるべく早めに遺品を片付けていくことは心に留めておいてください。
遺品整理は始めるべき日というものは決まっていないため、親族間で同意が取れていて、且つ心の整理がついているのであれば、初七日の間に遺品整理を行っても問題ありません。
ただ、故人が賃貸物件に住んでいた場合は、次の家賃が発生する前に遺品を片付ける必要があります。
どうしても整理が期限に間に合わない場合は大家さんに相談、あるいは遺品整理業者の利用を考えてみましょう。
もし故人の家が空き家になる場合は、窃盗や自然発火などのトラブルに遭わないように貴重品や発火の原因になる物をまず初めに片付けるようにしましょう。
四十九日の期間に遺品整理をしてもよいのであれば、法要と納骨式を除けばあとは普段通りの振る舞いをしてもよい気がしますよね。ですが、以下の行動は親族に悪い印象を与えてしまう恐れがありますので慎むようにしておきましょう。
結婚式や七五三など、華美なお祝い事は避けるべきだとされています。参列を辞退、あるいは日程をずらし、後日お祝いの言葉を贈るなどをして祝福しましょう。
七五三は神社で行いますが、神社によっては喪中の七五三を避けるべきだと考えていることがあります。
もし気になる場合は神社へ相談したり、喪中開けに七五三を行うよう日程を調整してください。
お中元やお歳暮はお祝い事とは違い、日頃の感謝を伝えるための品ですが、忌中の時期は贈らないほうがよいとされています。
お中元を頂いた場合は3日以内に忌中であると断りを入れ、お中元を頂いたお礼を相手に伝えるようにしましょう。
忌明けに入ってからお中元をお返しすることを忘れないようにしてください。
また、相手が故人の訃報を知らない場合、故人の自宅へお中元が届いてしまう場合もあります。その場合は故人が亡くなったということ、訃報の連絡を贈らなかったお詫びの気持ちを書き添えたお礼状を送るようにしましょう。
故人の魂は四十九日の間は家にいると考えられています。そのため、故人の魂を遺したまま引越しや新居に移るのは避けましょう。
けれども以前より引越し業者へ依頼をしていた、退去日が迫っているなど、やむを得ない事情がある場合は家族で話し合い、同意を得てから故人の家を手放すようにしましょう。
引越しをした際は喪中はがきにも住所が変更したという旨を書き添えおくことを忘れないようにしてください。
遺品整理を行うタイミングや時期に決まりはありません。
ですが、四十九日の間は親族とのやり取りや心のケア、諸手続きなどで忙しく、遺品整理まで手が回らないこともあるでしょう。
さらに故人の自宅に大量の残置物や特殊清掃を施さなければならない汚れが残されていた場合は、近隣の住民へ悪臭などの二次被害を及ぼしてしまうため、通常よりも速やかにゴミの撤去、清掃を行わなければいけません。
計画通りに遺品整理が行えそうにない場合は、遺品整理業者を利用することもおすすめです。最近は、部分的に作業を依頼できる業者もあり、上手に利用すれば金額を抑えながらもスムーズに遺品整理をすることができます。
業者に依頼する際には、遺品整理士の資格を持った業者を選びましょう。
遺品整理士は通常の不用品回収者とは違い、大切な人を亡くした遺族の気持ちに寄り添って遺品の整理、供養を手伝ってくれます。また、豊富な経験とノウハウを持っているため、誤って重要書類を捨ててしまうといったトラブルも防ぐことができます。
遺品整理業者の中には立ち会いなしで作業を行ってくれる業者も存在しますので、仕事で実家を一旦離れなければいけなくなったときに便利です。
ネットで遺品整理業者を検索するとたくさんの業者が出てくるかと思います。そしてその中には悪徳業者もまぎれています。利用前のお見積もりではサービス内容や料金だけを確認するのではなく、スタッフの服装や対応もチェックしておくと優良な遺品整理業者を見分けることができます。問い合わせやお見積もりは無料で実施していることが多いため、依頼して雰囲気や相性を見極めるのがおすすめです。
親族が集まり、故人のことを懐かしみながら今後の手続きについて相談する機会が増える四十九日はまさに遺品整理に適した期間だといえるでしょう。ですが、必ずしも四十九日の間に遺品整理を終える必要はありません。大切な人が亡くなった事実を受け入れられていないと、手元に残す遺品と捨てる遺品の区別がはっきりと判断できない可能性があるため、ご自身の気持ちが落ち着いてから整理を始めることが一番大切です。
四十九日にこだわらず、ご自身のペースで遺品整理を始めるようにしましょう。