多くの方が悩まれる遺品整理ですが、とりわけ「思い入れのある遺品を簡単に捨てることができない」というお悩みを抱えるご遺族の方は多いです。故人様の遺志や当人との思い出が込もった遺品を捨てるのは感情が入ってしまいますよね。それでもいつかは必ず決断する時が来ます。ご自身の気持ちに整理をつけ、故人様を弔わなくてはいけません。それを実現させるのが断捨離です。いるものはいる、いらないものはいらないとハッキリ分けることが、悔いなく遺品整理を進めるために大変重要なのです。
今回は、故人様が残された思い出の品々を悔いなく断捨離する方法を5つご紹介いたします。「どれも大切なものばかりでなかなか捨てられない……」「断捨離したいけど進め方が分からない」という方はぜひご覧ください。
大前提として、遺品整理はなるべく親族とされることをおすすめします。断捨離含め全ての遺品整理を一人で行うには、体力的・精神的に大きな負担となります。頼れる親族がいらっしゃれば、迷わず一緒に行いましょう。
遺品整理に無理な処分は禁物です。遺品整理は物の整理だけではなく、気持ち・心を整理する大切な作業だからです。「もう少しの間残しておきたい」とご判断されている物を無理に捨ててしまうと、かえって気持ちの整理がつけられなくなります。故人様の遺志を尊重することは大切ですが、親族の方々が納得されるかどうかも遺品整理において大切な考え方です。前提として、遺品を必ず処分する必要はないと心得ておきましょう。
「捨てるのが勿体ない」「他人に使ってもらえそうな遺品がある」そのような場合は、故人様と親しくされていた方々への形見分けを検討しましょう。故人様が愛用されていた時計や万年筆などの品物をご親族やご友人に譲渡するのです。文字通り遺品を渡すだけなのですが、これは分別の負担軽減だけでなく、故人様を偲んでくださる方々への礼儀を尽くす意味のある作業です。ただし、以下の点には注意しましょう。
「形見分け=不用品を押しつける」では決してありません。受け取る方が気持ち良く所持できるよう、形見の品は慎重に選ぶ必要があります。例えば衣類はクリーニングをし、ゴミや汚れのない清潔な状態でお渡ししたり、貴金属や雑貨は細かなホコリを取り除いた上で譲ったりするのが大切です。
また、目上の方には基本的に形見分けは行いません。しきたりとして、親から子へ、兄から弟へという形で行うものであるため、目上の方にお渡しするのは失礼とされてきたのです。こうしたしきたりを気にされる方も中にはいらっしゃいますので、故人様よりも目上の方へ遺品を譲渡するのはなるべく避けるのが無難でしょう。
加えて、譲渡される際はなるべく日常生活の邪魔にならないようなものをお渡ししましょう。時計や万年筆など、実用的なものが無難です。ありがた迷惑にならぬようお気を付けください。
形見分けには時期も重要です。基本的に忌明けの法要後に行うのが一般的ですが、宗派によっては四十九日法要の後など、適した時期が異なります。故人様の宗派を正しく理解し、しきたりに従いましょう。
断捨離に悩まれる方の多くは、そもそも遺品整理をどのように行うのか正しく理解されていないことがあります。「なんとなく難しい」「分類の方法が煩雑で面倒だ」と思われがちですが、方法自体は実はとてもシンプルです。ぜひ、分類のコツを知り効率的な断捨離を行いましょう。
「〇日までに部屋全体の荷物を分類し終える」「〇日までに不用品は全て回収してもらう」など、断捨離をいつまでに終わらせるのかをまずは決めましょう。断捨離に失敗される方の多くは、期限を決めずに決断を先延ばしにされ、結局何もできなかったとなってしまいます。必ず具体的な日付と「何をどうするのか」を明確に決めておきましょう。
遺品の中には、故人様が生前肌身離さず持ち歩かれていた物や、大切にお手入れされていた物があるはずです。着物やアクセサリー、ゴルフ道具や財布など、「これを捨てたらあの人は悲しむだろうな」と思われる物は「残す物リスト」に加えておきましょう。特に有価証券などの金融商品は、遺産相続にも関わる大切な物となりますので、最優先で保管を行いましょう。
不要だがそれなりに価値がありそうな遺品は売却することができます。遺品買取専門の業者に査定を依頼すれば、処分されるはずだったものがお金に変わるかもしれません。保管に困った車などは他のご遺族とご相談の上、買取を依頼するのも効果的です。
断捨離の真骨頂ともいえる「捨てる」ですが、ここはひとつ慎重に行ってください。というのも、捨てる物の中に先程述べた「売れる物」「残す物」が混ざっている可能性が大いにあるためです。もちろん雑誌や古本、明らかに破損している物品などは実用性や換金性が低いため「捨てる物」に分類できますが、「古いけどこういうときは使えるな」と使途が明確にイメージできる場合は残しておいたほうが良いでしょう。
断捨離にある程度決断力が必要とはいえ、遺品を無理に捨てられる必要はありません。とくに、故人様が亡くなられてすぐは気持ちの整理がつかないこともあります。まだ落ち着いていない中で「一日でも早く整理しなければ」とストイックになる必要はありません。冒頭にも述べた通り、遺品と共に故人様とのかけがえのない思い出とじっくり向き合い、気持ちを「整理」することも立派な遺品整理なのです。時間や場所にゆとりがあるなら尚更です。
ただ、スケジュール上どうしてもすぐに遺品整理が必要なケースも出てくるかと思われます。その際は負担軽減に業者を利用できるほか、生前整理を行い死後に備えることもできるので、予め段取りしておきましょう。
断捨離にかかる負担を軽減されたい場合は、専門業者に作業を依頼してみましょう。ご自身でこなされる遺品の分別、整理を全て任せることができます。もちろん、残しておきたい遺品かどうかを一緒に相談されながら作業を任せることができますのでそこはご安心ください。
費用は家の広さや整理する品物の量に応じて変わりますが、約3万円~60万円と、価格帯はかなり幅広いです。ご自身の予算やサービス内容に応じて依頼されるかどうかを入念に検討されることをおすすめします。
また遺品整理業者の中には、分別・整理の他に不用品回収や買取なども実施している業者があります。いずれかの作業が片手間になるデメリットはありますが、窓口がひとつで手続きが楽というメリットもあります。このように業者により様々ですので、WEBサイトやチラシ、電話などで確認してみましょう。
断捨離は「いらない物は何でもかんでもとにかく強気に捨て切る」という気持ちでするものではありません。判断を急いだり誤った方法を選択してしまったりして、捨てなくてもいいものまで捨ててしまう可能性があるためです。正しい手順を踏むことで、これまで上手くいかなかった断捨離が簡単にできるようになりますし、気持ちの整理もつけやすくなります。断捨離は故人様の生前の生きざまに思いを馳せ、心を整え、新しい人生を踏み出すための大切な儀式です。当記事を参考に、断捨離上手を目指されてみてはいかがでしょうか。